さて、恒例の「Perfume繋がりで迷い込んだ若いパフュヲタを煙に巻く」エントリです。
今日紹介するのはバディ・リッチという人です。
バディ・リッチ(Wikipedia)
バディ・リッチ(Buddy Rich)はドラムを叩く人です。亡くなって暫く経ちますが、アメリカではビッグバンド・ジャズの偉い人として人気があり、多くの(ロック系)ドラマーから尊敬を集めている、伝説のドラマーです。
今日も、名前だけでも憶えて帰ってください。(また、このパターンかw)
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では、オッサンの昔語りから始まります。
高校生の頃にエアチェックしたカセットテープの中に曲名も演奏者も判らない楽曲がありました。
今から30年ほど前にFMから録音したもので、高橋ユキヒロや矢野顕子が「自身が影響を受けた楽曲」を紹介する番組で、Sly & the Family Stoneの「If You Want Me to Stay」などと共にこの曲が流れたのです。
ファンキーなビッグバンド・ジャズで、ググっとせり上がってくるホーンのアレンジや途中で入るギターソロに痺れまくったのですが、肝心の曲名・アーティスト名を聞き逃していたのですね。
その後、その曲のタイトルが「Mercy, Mercy, Mercy」(*1)で有ることは判ったのですが、誰が演奏しているのかは判明せず。結局、調査の途中であることも忘れて四半世紀が過ぎていました。
先日、ふと「Mercy, Mercy, Mercy」を思い出し、「何故にネットでググったりiTunesで検索しなかったのだろう」と自分に呆れながらあれこれ検索し、片っ端から試聴してみたら、いとも簡単に見つけてしまった。
(すげー、良い時代になったと思う)
「Mercy, Mercy」 The Buddy Rich Big Band
http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewAlbum?id=74197052&s=143462
おおう! バディ・リッチだったんですね。名前だけは知っていました。
で、改めてもう一度「Mercy, Mercy, Mercy」をiTunesでダウンロードしてじっくりと聴き込み、さらにそれが収録されている1968年のラスベガスはシーザーズ・パラスでのライブ盤「Mercy, Mercy」を入手してヘビロテ。
それだけでは飽き足らずに、ビッグバンド・ジャズの枠を飛び越えて「レアグルーヴ」として語られている名盤「The Roar Of '74」を発注したり、youtubeやニコニコ(ちゃんとあるんだよ!!)で動画を漁りまくって、にわかファンが完成しました。
Grand Concourse
6:35辺りでギアチェンジ。これがビッグバンド・ジャズの醍醐味ですかね。各楽器のアンサンブルや構成も含めた編曲の妙。エンターテイメントとしてのビッグバンド・ジャズに触れるには最高の素材だと思います。
Time Check
聴き覚えのある「何かのテーマソング」に似てますね。
極めて高い技術を持っているのに、テクニカルな繊細さは微塵も感じられず、雷神の如くビートを叩き出すその姿に惚れずにはいられません。マジかっこいい。
Nuttville
この人のドラムは、ジャズを語る上での指標とされる(?)「スウィング感」をそれほど感じません。そのかわりに、大きな塊が押し寄せてくるような圧倒的なグルーヴが有ります。ひとことで言い表わすなら「スーパーチャージャーで強化されたV8エンジンを積んだアメリカン・マッスルカー」ですね。「The Roar Of '74」のジャケットイメージそのまま。怒涛のズンドコドラムでグイグイとドライヴする感じです。
さて、ネットであちこち覗いているうちに、ある事実に気付いたのですが、バディ・リッチは日本のジャズ・シーンの中で冷遇されているようですね。「曲芸師」とか「素人が聴く音楽」とかそんな類の冠を載せられている、みたいな。なんか厭な感じで。
何となく解る様な気がします。
皆さんは「ジャズ」と言われて何を連想しますか? 私はビバップとジャズ喫茶を連想しますね。
ビバップスタイルによる張り詰めた緊張感の中で繰り広げられるインプロヴィゼーションの応酬。リスナーはジャズ喫茶でそれらの名演を聴き、インタープレイに触れて、それを分析し理解する試みに耽る。
ジャズがダンスミュージックであった頃の「スウィング」の持つ高揚感などもはや意味を成さなくなり、何時しかジャズは深刻な顔をして聴くものになった。
確かに、インタープレイではなくバンドとしてのアンサンブルを重視し、繊細さよりもダイナミズムを追及し、ジャズ理論よりも「叩く」事をエンターテイメントへ昇華する道を進んだバディ・リッチは、ビバップ至上主義が蔓延る日本の狭いジャズのフィールド(*2)の中では「キワモノ」扱いされても仕方ないと思う。でも、だからこそ、私はこのドカドカと太鼓を叩くヤクザなドラマーに憧れます。音楽性や芸術性よりも、純粋にドラマーとしてのカッコよさを追求するとこうなるのじゃないかなと思うもの。
ところで、ネットであれこれ検索していて、いちばんくだらないなと思ったのは、ジャズファンの中にドラムヒーローに憧れる「ドラム厨」的な発想を嘲る人が未だに居る事。(*3)
「え?バディ・リッチ? これだから素人はなあwww 」ってね。
素人で結構。私はプロのリスナーになるつもりは無いので。
追記:
バディ・リッチのドラムを聴いていると、生まれる時代とジャンルを間違ったのではないかと言う気がします。
ひょっとしたら、ジョン・ボーナムの代わりにツェッペリンでドラムを叩いていたかもしれないし、コージー・パウエルではなく彼がレインボーに居たかもしれない。
注釈:
(*1)70~80年代にウェザーリポートで一世を風靡したジョー・ザヴィヌルの作品。キャノンボール・アダレイの名演も有名。(ってちゃんと聴いたこと無いけど)
Youtubeに「Buddy Rich版の動画(http://www.youtube.com/watch?v=LDhKty0gz6Q)」が上がっていますが、シーザーズ・パラスのライブ盤とは雰囲気が違いますね。上がっている動画はリラックスしたマッタリ感が漂っているけど、シーザーズ・パラスでの演奏はかなりファンキーで、上がります。
(*2)わたしはそんなジャズ喫茶の狭い空間から抜け出すことの出来ない日本のジャズシーンが大嫌いです。
↑↑ あ、言い過ぎましたので、フォローさせてください。
ジャズ喫茶は悪くないんです。私自身、若い頃にはジャズ喫茶にはお世話になったし、今でも愛していますから。でも最近、「ジャズ喫茶でパットメセニーをリクエストできるか?」という事を話題にした記事を読んで、未だにジャズ喫茶に対する先入観ってモダンジャズ一辺倒で堅物なイメージなのかなと気になったのです。実際にはそうじゃないんですけどね。ちゃんとフュージョンも掛けてくれるお店もあります。
「ジャズは難しい」とか「とっつきにくい」とか、そんな先入観を多くの人達に植えつけたのはいったい誰なんでしょうね。猛省を促したい。
(*3)大学生の時にジャズのサークル(ビッグバンド)でギターを弾いていたんだけど、先輩たちが絵に描いたような「イヤミなジャズヲタ」ばかりで嫌気が差して1年で辞めてしまった事がある。
誰も知らないマイナーなアーティストを探し出してきて得意気に「え?知らないの?」とひけらかす奴とか、「コルトレーンのこのフレーズは一般に知られているジャズの理論では説明できないんだよ」と評論家の受け売りしか出来ない奴とか。
「お前らそんなことやっている暇があったら練習しろよ。あんたのベースはピッチがズレまくっているよ。せめてルート音くらいはまともに出せるようになってくれ。」
あ~、今、色んな事を思い出した(苦笑)
ロックもそうですけど、「制度論」「意味論」を下敷きにするしか脳の無い連中の何と多い事か!と。
プレイする側でなく、聴く側の自由度が少ないですよね。
例えるなら寿司屋で赤身か中トロを頼むと「これだから素人は」「青物系やキモ系を知らなきゃツウじゃないよ」って反応される感じと似てると思います。こちとら好きだから頼んでんだよ!
で、このバディ・リッチ、いいですねぇーこのダイナミズムが。
悪い意味で「演者と対峙しなければならない」厳かなジャズ喫茶的雰囲気と違って、パーティームードと言うか、ワインやシングルモルトでなくビールとチキンウィング、ソーセージが出てくるような店の雰囲気という気がします。これもこれでまたヒップな感じかと。
そうそう、ジャズって寿司ですね。落語もあるかな。
つまり「○○通(ツウ)」な人が存在する分野は全部当てはまりますね。伝統芸能に対する「しきたり」なら従うのは当然だと思いますが、ジャズっすよジャズ。たかだかジャズじゃねーかって。
やっぱ、自分のスタイルで楽しめる環境が一番ですよね。
ただ、本編中のジャズ喫茶に関する件は自分の誤認もあります(汗)。
あはは。
すいません。おそらく僕はそう思っているうちの一人です(笑)。上京して中途半端にアシッド・ジャズ→レアグルーヴに興味を持った時も、モダンジャズは怖くて聴けなかった。雑誌や知識から入って体系的に知らなきゃって変に考えちゃったんですよね。音聴いてスゴいかスゴくないしかないはずなのに。30歳過ぎて、そういう不自由さって自分の中ではなくなったと思っていたのですが、まだまだです。
mariotownさんはある意味被害者ですよ。「怖くて聴けない」とか「体系的に知らなきゃ」と多くの人に思わせてしまった先人達は責任を取るべきなんです!
80年代以降に日本でも野外のジャズフェスティバルが頻繁に開催されるようになったので、イメージとして決して敷居の高いものでは無くなってきているとは思うのですが。
だって、ジャズっすよジャズ。たかだかジャズじゃねーかって。(くどいw)
仕事で以前シカゴの大学のジャズ科に取材しましたが、
20歳そこそこのわっかい学生が
目標はバディ・リッチと胸張ってましたけどね。
くだらない選民思想にひっぱられるから、
若い人が聞かなくなるんでしょうね。
どうも、こんにちわ。
選民思想。たしかにありますね、「俺は他人とは違うんだよ」感。差別化を突き詰めることで得られる優越感と言うか。
まあ、この辺は自戒を込めて記しておくのですが、ある意味「権威主義」も有るのかもしれませんね。
私の場合は「矢野顕子も聴いている」という事実がプラスに作用して、無意識のうちにバディ・リッチに対する評価が上がっているわけで(笑)。
それと真逆で、ジャズの偉い評論家やプレイヤーが「バディ・リッチ? ありゃあダメだ」と言った一言が、日本のジャズに於けるバディ・リッチ評の基準となっている可能性もあるかもしれないと。amazonの「チャーリー・パーカーの真髄~バード・アンド・ディズ(+3) 」の商品解説を読んで、なんかそんな感じがしました。自分の耳に自信が持てない人が、知識優先で盲目的に受け入れてしまうと言うか。
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困った事にPerfume成分が多目です。彼女達の親御さんとは間違いなく同世代です。ちなみにP.T.A.会員です。
ホントに御免なさい。
御用命は「lstd_rd の yahoo.co.jp」まで。