前回の予告通り、HELLO KOMPAKTをレビューします。
たぶん、選択を誤ったかもね。
そもそも、テクノって反復ビートに特徴があるため曲の構成上変化に乏しく、リスニングを目的として普通に聴いてみると、そんなに面白いものじゃない。あっ、「テクノをすごく好きな人には本当に申し訳ない事を今言ったと思うんですけど(笑)(*1)。」
テクノって、2枚使い(時には3枚使い)や、イコライジングによる音域カットや、カットインによる急激な変化とか、DJがそのミキシング・スキルを駆使して積極的に楽曲にアプローチする事によって起こる「リアルタイムな変化」が楽しいと思うので、現場で聴いてこそだと思う(*2)。(って言うかそれでいいんだよね。最近テクノのイベントに行っていないので、現在のシーンがどうなっているかが正直わからないんだよね(爆))
そういう意味では、今回レビューする「HELLO KOMPAKT」はDJが使用する素材集だと思う。KOMPAKTというレーベルを知るためのサンプル集。なので、普段テクノを聴かない人が聴いても「楽しく」は無いと思う。むしろ「退屈」かもしれない。テクノの楽しさを啓蒙するのであれば、同じKOMPAKTの音源集でもKAITOことヒロシ・ワタナベによるMIX集「CONTACT TO THE SPIRITS」の方が良かったかも。いやそれよりも、WIREやMetamorphoseのコンピレーションの方が直球で入りやすかっただろうね。
なので、趣向を変えて「どうしてもテクノに馴染めない人のためのゲーム」にしてみる。
ARTIST : V.A.
TITLE : HELLO KOMPAKT
LABEL : KOMPAKT
FORMAT : CD
ドイツはケルンを拠点に良質なテクノをリリースしつづけているレーベル「KOMPAKT」の代表的な音源をシスコ・レコードが日本市場向けにコンパイルしたコンピレーション・アルバム。ジャケ写の様に美しくも”モノトーン”な世界。
1stステージ:まずは慣れてみる
1.Kaito 「Release Your Body ( Beatles Version )」
テクノが苦手な人には、電子音とか機械的な打ち込みビートがダメって言う人も居るだろう。この曲にはビートがなく、言うなればアンビエントな雰囲気。ここは、幻想的なメロディラインを奏でる美しいシンセの音に耳を傾けてみよう。最後まで「気持ち悪くならずに」聴く事が出来ればクリア。
2.The Field 「Over The Ice」
テクノの特徴を良く表している曲。反復するミニマルビートと、変化の少ない曲構成。これは「最後まで飽きずに」聴くことが出来ればクリア。
3.Justus Kohncke 「Timecode」
8ビートを強調したミディアムテンポのディスコ。一日5万歩歩かないと気が済まない人は、この曲をBGMにウォーキングをしてみるのも良いかもね。何気ない日常のBGMとして聴けるようになればクリア。
4.The Rice Twins 「For Dan」
1stステージのラストは、ディープハウスへ繋げる事も出来そうなハウシーな曲。聴き進んで行くと意外と可愛らしい曲だと言う事に気付くかも。最後まで聴けることがクリアへの条件だが、少しでも「心地良さ」を感じることが出来れば高得点が期待できる。
2ndステージ:だんだん手強くなるよ
5.Superpitcher 「Fieber」
結構アッパーなビート。ここまで来るとビートや曲調もかなりキツくなってきたと思う。先ずは音に慣れること。そして聴き進んで行くうちに僅かな曲調の変化に気付く事が出来たらクリア。
6. Gebr. Teichmann 「Dance And More」
一転してダークなイメージへ。でも曲調はギターの鳴るロックな感じでしょ。これもテクノ。この曲は最後まで聴ければクリアとしよう。
7.Reinhard Voght 「Robson Ponte」
中盤で一番のボスキャラかもね。「ロブソン・ポンテ」って延々と繰り返すからね。チョコレイト・ディスコの比じゃないよ。何回「ロブソン・ポンテ」って言っているかを数えられたらクリアとする。(正解を出すために数えなきゃね)
8.W.V. 「Nachschub ( M.Mayer Mix)」
2ndステージのラストはミニマル。とにかく最後まで聴く事がクリア条件。飽きずに最後まで聴けるかな? ホントに変化に乏しいから。
最終ステージ:いよいよラスト
9.DJ Koze 「Raw」
ディープミニマル。ガラスが割れる音? 微妙な曲調の変化を聞き逃さずに最後まで行ければクリア。
10.Oxia 「Domino」
エレクトロ・ハウス。ここまで来る事が出来ればかなり慣れてきたはず。自然と身体を揺らす事が出来ればクリア。
11.The MFA 「The Difference It Makes ( Superpitcher Remx ) 」
いよいよ締めくくり。ゲームクリアのためのラスボス。最後の曲はじっくりと音を聴いて楽曲に向き合う事。そして、例えば、幼い頃に友達と遊んだ思い出だったり、浜辺を裸足で歩いている自分の姿だったり、何でも良いんで、何かしらビジョンが目の前に広がればゲームクリア。これで、完全にテクノを克服できるよ。
Supermayer / Michael Mayer and Superpitcher 「TWO OF US」
最後のボーナストラックは本編とは関係の無いゲーム最強のボス。クリア条件はこの曲で「踊れる」事。
とりあえず、こんな感じで纏めてみた。
自分では普段聴かないディープなミニマル方面の音が体験できて、さらに資料の意味でも良いコンピレーションだと思いました。
今年のWIRE07にはDJ Kozeの出演が決まっているようなので、興味のある方はどうぞ。
注釈:
(*1)SWITCH 2007年8月号特集記事「十代のいま、十代のころ」の、Perfume西脇さんのインタビューより引用。
(*2)VJとして色んなイベントに参加して、DJ達のプレイする姿を間近で観ながら得た発想である。それがフジロックで体験した田中フミヤのプレイや、Jeff Millsの「Exhibitionist 」を観て以来、確信に変わった。
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困った事にPerfume成分が多目です。彼女達の親御さんとは間違いなく同世代です。ちなみにP.T.A.会員です。
ホントに御免なさい。
御用命は「lstd_rd の yahoo.co.jp」まで。