久しぶりに、Perfume関連で迷い込んだ若者達がまだこの世に生まれる前の「70年代」の音楽でも。
ようやくリスニング用のカートリッジ(つっても、SUMIKO Oysterだけど)を仕入れたので、週末になるとレコード棚に入れっ放しになっていた古いアナログ盤などをせっせとPCに取り込んでいます。
原久美子のセカンドアルバム「熱風」は、発売された1978年当時、相当気に入っていてかなりのヘビロテだったのですが、私の不注意で炎天下の直射日光に晒してしまい、ぐにゃぐにゃに変形してしまいました。泣きました。まあ、とりあえずカセットテープにダビングしていたので音源そのものは聴く事が出来たのですが、いつか買い直そうと思いつつも長い年月が経過してしまい気がついたら30年。あぁ。
昨年、某オークションで見つけて落札し、久しぶりにちゃんとした音源に再会しました。泣きましたw
このアルバムとの出会いがまた劇的で、高校生の頃、深夜にラジオ(AM!)を適当にチューニングしていたら、何かとても表現し難いのだけれど強烈にカッコいい”クロスオーバーな”バックトラックで歌う女性ボーカルが聴こえて来たのね。しばらくラジオの前で釘付けになりじっとその音楽を聴いていたのだけれど、肝心の曲名やアーティスト名を聞き逃してしまったのです。しかし、何の根拠も無く「この曲はコレに違いない」と、その時手元にあった音楽雑誌に掲載されていた原久美子のアルバム「熱風」の広告をガン見しながら購入を決意。で、自信たっぷりにレコード屋で試聴もせずに(つか、試聴というシステム自体無かった気がする)購入し、速攻で帰宅してステレオで針を落とすと、、、。正解! 俺って凄い!
原久美子 - 黒い翼 -
原久美子 - 魚の見た夢 -
原久美子 - 熱風 -
「原久美子」って言っても、かつて一世を風靡したグラビアアイドルではありません。
70~80年代に活動していた女性ボーカリストです。
このアルバムが発売された1978年って、確か「フュージョン」というジャンルが確立されて一般に認知された頃じゃないかな。それまで上手い言葉が見つからず「クロスオーバー」と言う本来はムーブメントを差していた単語をそのまま使って説明していた音楽を、十派一絡げで強引に言い表す便利な言葉として「フュージョン」という表現が発明された時代ね。
原久美子の音源はセカンドアルバムの「熱風」以外は殆ど聴いた事が無いです。ファーストアルバムまでは、割りと「ジャズやブルースを経由したシティポップ」的な所で大橋純子や吉田美奈子あたりと同列で語られていたのでは? と推測するのですが、この「熱風」ではジャズやプログレッシブ・ロック的なアプローチが見られて、明らかにジノ・バネリやスティーリー・ダンを意識したのではないかって気がしています。
A面1曲目の「黒い翼」が正にこのアルバムの全てを物語っていて、クラシカルなピアノの旋律で始まるジャズ・ロックなワルツ。渡辺健のフレットレスベースと村上ポンタのドラムが最高にカッコ良い、ジャズとロックとポップスの融合と言う意味でのフュージョン。ジノ・バネリのアルバム「Brother to Brother」のオープニング曲「Appaloosa」にも勝るとも劣らぬ衝撃。
B面ラストの「熱風」は鈴木徹とポンタのツインドラムがヘヴィに絡み合い、原久美子がブルージーに歌い上げるプログレッシブ・ジャズ・ロックなポップス。これも「Brother to Brother」で言うところの「People I Belong To」的な壮大さで、締めに相応しい重みのある楽曲。
「熱風」: 原久美子 |
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Track List |
しかし、この人って日本のポップス史の中では完全に埋もれてしまっていますね。
このアルバムもCD化されていないようですし、たまにオークションで見かけても「山下達郎作曲」の冠を付けられて山下達郎ヲタのコレクターズアイテムと化してます。1曲提供しているだけなんですがね。
ところで、このアルバムの全スコアを編曲して作曲とキーボードで参加した乾裕樹も、ギターで参加した大村憲司も既にこの世に居ません。
そして、原久美子本人も2005年に49歳の若さで亡くなりました。重度の視力障害を克服しモンブラン登頂に成功した人でもありました。
http://www.fuusenn.net/kumiko-hara/
http://art-random.main.jp/samescale/049-2.html#k-hara
あれから30年以上経っても色褪せない音楽だからこそ、陽の目を見る日が来る事を願って止みません。
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困った事にPerfume成分が多目です。彼女達の親御さんとは間違いなく同世代です。ちなみにP.T.A.会員です。
ホントに御免なさい。
御用命は「lstd_rd の yahoo.co.jp」まで。